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市川智彦先生 この度第38回日本受精着床学会総会・学術講演会を開催させていただく運びとなりました。私が本学会学術講演会に初めて参加しましたのは1987年の第5回学術講演会です。それ以来30数年の長きにわたり、ARTに関する自身の発表の機会を得て、また多くの学識者の方々から最新の研究結果や技術を学ばせていただきました。伝統のある本学会の、また、私の師である本学会の学術講演会長を担当させていただきますことは、身に余る光栄に存じます。
 今回のテーマ『 グローバリゼーション 』〜広がるARTの世界を考える〜といたしました。不妊症の一治療方法として始まったARTは40年の歳月で、不妊治療の領域を超え、人類の進歩に多大な功績を残してきました。ART技術の延長線上にはiPS細胞や遺伝子治療の技術があり、それらの技術は現在もなお進歩し続けています。また、がん生殖医療領域では、不妊症患者のみならず、多くの若年がん患者に勇気や希望を与えています。ART領域の中においても、その領域を超えた知識・技術に関する研究が進歩しています。アンドロジー、生殖心理、生殖看護学、生殖免疫、遺伝と様々な分野からの情報・研究の恩恵を受けて、現在のART治療が成り立っています。そのような背景のもと、〜広がるARTの世界を考える〜と題して、細分化したARTに必要な情報を統合し、次世代のARTに向けた新たな情報共有の機会を提供できる学術講演会を企画いたしました
 当初、第38回日本受精着床学会総会・学術講演会は2020 年10月1日(木)・2日福岡国際会議場で開催予定でした。会員の皆様も周知のように、本年初頭に始まったCOVID-19感染症は、全国に広がり4月には政府による緊急事態宣言の発令となりました。5月には感染拡大がやや収束し、感染対策を行った上での国民の活動再開となりました。COVID-19感染症が完全収束した状況ではなく、10月の本学会学術講演会も3密に考慮したプログラム再編成を行い、ハイブリッド開催(オンデマンド発表と会場発表の並列)で進めておりましたが、8月からは第2波とも考えられるようなCOVID-19感染拡大が見られ、各都道府県独自の外出自粛規制が発令される事態になりました。このような状況の中、会員・演者・座長の先生方も各都道府県知事の要請に従っての行動となることが必至と考えられ、今回の本学会学術講演会はすべてWebによるオンデマンド開催と決定し、会場での開催を中止いたしました。学会への参加を楽しみにされていた会員にはまことに残念なご報告となりましたこと、会長として申し訳なく思っております。
 しかしながら、オンデマンド開催であっても、これまでの学会開催と遜色なくプログラム再編いたしました。本年の学会テーマが『グローバリゼーション』〜広がるART の世界を考える〜ということで、学会開催形式にも新しい時代の新しい形を模索しながら、「広がるART の世界」を表現していきたいと思います。学会参加は事前登録で、オンデマンドで多くの口演発表を、余裕のある時間に何度も閲覧できるという、これまでの学会形式とは異なる利点も経験していただけると思います。是非とも、奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます。
第38回日本受精着床学会・学術講演会
会長 詠田 由美
(アイブイエフ詠田クリニック 院長)